住宅の購入は、人生で一番高い買い物と言われるくらい大きな買い物ですが、現金一括で購入するのは非常に大きな負担になってしまいます。
そのため、ほとんどの人が数十年の住宅ローンを組むことになります。
しかし、その住宅ローン。
「金利が安い」「今の家賃より返済額が少ない」といった安易な理由でローンを組むと多くのリスクを抱えることなります。
この記事では住宅ローンを組んだ場合のリスクの話から、ローンが払えなくなるとどうなるかまで、わかりやすく解説していきます。
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住宅ローンは組むべきなのか?
結論から言うと、住宅ローンを組むことはオススメしません。
その理由は大きく分けて3つあります。
①日本では購入時より高く売れる家が少ない
②返済、金利のリスク
③ライフスタイルの変化に対応できない
それぞれ解説していきます。
購入時より高く売れる家(=リセールバリューが良い家)が少ない
リセールバリューとは住宅の「売値/買値」です。
つまり、リセールバリューが100%以上であれば価値の高い住宅と言えます。
売却時に購入時の価格、までとは言わなくてもせめて残債の額を上回る価値がないと売却してもローンが残ることになってしまいます。
特に地方の新築住宅は要注意で、リセールバリューが悪い傾向にあります。
理由としては、土地が安い&業者の利益上乗せが大きいからです。
土地が安いと、住宅の価値はほぼ上物(建物)の比重が大きくなってしまいます。
しかし、建物の価値というのは年々下がってしまうため、住宅の価値は土地の価格のみとなり、残るのは膨大なローン(借金)だけとなってしまうわけです。
また、新築はただでさえ業者の利益や広告費で上乗せが多く、値段が高くなってしまうのですが、その後の値下がりの幅が大きい傾向にあります。
そのため、地方の新築を買う際には特に注意が必要です。
リセールバリューについては、下記のように定期的に記事になったりもしているので、購入する際には、事前に調査した上で購入するようにしましょう。
出典:東京カンテイ
返済、金利のリスク
今は金利が低いから住宅ローンを組むのはお得!という声もありますが、それは違います。
金利が低いということは、住宅を買える人が多い=住宅価格は上がりやすくなります。
実際、都市圏の中古マンションの価格はここ数年ずっと上昇しています。
つまり、金利が低くても、住宅そのものの価格が高くなっていたら得とは言えないのです。
逆にもし金利が上昇したら、変動金利であれば返済負担は増え、住宅を買える人が少なくなって住宅ローンを組む人が減れば需要が落ちて価格も下がる、ということになります。
さらに、返済のリスクについてもあらゆる可能性を考えておく必要があります。
返済の計画を立てる際に下記のような前提で考えることは、いざ何かあった時に対応できなくなってしまうので注意が必要です。
・残業込みの給与で計算する
・夫婦の年収で計算する(どちらかが働けなくなる場合もある)
・給料は今後も上がり続ける
・理想の家を追求しすぎてギリギリの計画で35年ローンを組む
また、「今の家賃より、ローン返済額が安いなら買った方がいい」という人もいますが、そんな単純な話ではありません。
どっちの方が得かを考えるには、長期的な総住宅費(例えば30年賃貸で住み続けた場合と、30年間マイホームに住んだ場合にかかるお金)を計算する必要があるのです。
賃貸と購入した場合では、それぞれ下記のような費用が発生します。
賃貸:家賃、更新料、引っ越し代、火災保険料等
マイホーム:住宅ローンの返済総額、購入時の諸費用(税金、登記費用、仲介手数料など)、火災保険料、固定資産税、修繕費等
ここから「30年後の売却額(見積もり)-売却時の諸費用」も考慮した上で初めてどちらが得か判断できるのです。
ただし、購入した場合にその家に何年住むかなんてことは予測不可能で答えは誰にもわかりません。つまり、不確定要素が多すぎるんです!
ライフスタイルの変化に対応できない
最後はライフスタイルの変化についてです。
当然のことながら、住宅を購入した場合には、ずっと住み続けることになりますよね。
同じ場所にずっと住み続けるということは下記のような事項で問題が生じても我慢するしかないということでもあります。
・近所付き合い
・騒音
・学校教育
・転勤
これが賃貸なら柔軟性を持って動けるのですが購入した場合だと、なかなか動くことができません。
住宅ローンを滞納するとどうなるか
住宅ローンが払えなくなって滞納した場合には、一般的に約半年ほどで家が競売にかけられます。
滞納した場合の流れは下記となります。
・督促状が届く(滞納1〜3ヶ月)
・分割払いが許されなくなり一括での請求がくる(滞納3〜6ヶ月)
・競売開始の決定(滞納6〜8ヶ月)
・競売の入札期間(滞納8〜10ヶ月)
・立ち退き(滞納10〜12ヶ月)
競売が始まると、家が相場の7割程度の安い価格で売りに出され、家が失われるだけでなく、多額の借金が残るというケースも少なくありません。
住宅ローンに潰された人々の事例
現在コロナの影響もあり、住宅ローンの返済相談が急増しているのはご存知でしょうか。
住宅金融支援機構への相談件数はコロナ前に比べ、約150倍も増加してます。
コロナを抜きにしても、住宅ローンの破綻率は毎年約2%もあるのです。
「自分が破綻するわけがない」
「今後給料も増えるし、ボーナスもある、最悪退職金もあるし大丈夫」
と考えて住宅ローンを安易に組んでしまうと大変なことになります。
実際、急に状況が悪化し、ローンが払えなくなった人達は多くいます。
事例①:突然原因不明の病気で働けなくなったが、住宅ローンがあり生活保護が受給できず、家を売却しても残債が残るため、結局自己破産をして生活保護を受給することとなった。
事例②:夫婦の合算収入でローンを組んで家を購入したが、離婚。結局ローンを支払うことが難しくなり、売却することとなった。
など様々な理由から突然支払うことができなくなるケースは多くあります。
まとめ
もう一度お伝えしておくと、住宅ローンを組み、マイホームを購入することは以下のリスクがあります。
①日本では購入時より高く売れる家が少ない
②返済、金利のリスク
③ライフスタイルの変化に対応できない
それぞれのリスクについては念入りに計画を立てることが必要なのは明らかなのですが、将来の予測となるため、不確定要素が多すぎます。
住宅ローンを組んでマイホームを購入することを否定するわけではありませんが、現在購入を検討している方は、きちんと考えた上で購入していただくとよいかと思います。