不動産投資をする際に一つの基準として使用される「利回り」
利回りが良いほど、キャッシュフローが多く得られるため、重要な指標とされています。
しかし、物件広告でよく見られるような「表面利回り」だけを見て投資をすると、実際は全然利益が出なかった!という悲惨な事態になることも!
そこで今回は、不動産投資を表面利回りで判断してはいけない理由を解説していきます。
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表面利回りとは
不動産投資の広告や不動産業者が使用する言葉に「表面利回り」という言葉があります。
表面利回りとは、物件価格に対してどの程度の家賃収入が得られるかという表面的な収益性を表す数値です。
不動産投資の「表面利回り」の計算は、「年間家賃収入額÷物件価格」で求められます。
例えば、5000万円の物件で年間家賃収入500万円だとすると、
「500万÷5000万=10%」
となるわけです。
表面利回りで判断してはいけない理由
不動産投資においては、家賃収入が丸々手元に入るわけではありません。
家賃収入はあくまで「売上」であり、そこから次のような様々なコストが引かれるのです。
空室リスク
表面利回りの計算で使用される「年間家賃年収」は、満室時の年収です。
仮に20室のアパート運営をしている場合、その20室すべてが埋まっている時に受け取れる年間家賃です。
ただし、年間で一度も退去が発生しないなんてことは、まずありまえせん。
そして退去となれば、すぐに次の入居者が決まるまでに少なくとも1ヶ月〜3ヶ月程度は時間を要するのです。
一般的に入居率は95%ほどあれば優秀とされていますが、それでも5%は空室による損失が発生することになります。
つまり、満室想定が500万円の場合には、25万円は空室による損失が発生するということです。
管理委託費
不動産投資では、入居者を集めて家賃を得る必要があり、投資家は物件を管理することで利益を得られます。
投資家が自ら不動産を管理する方法はありますが、慣れていない人が物件管理するのは難しいですよね。
物件をうまく管理できていないと、入居者から家賃を効率的に徴収できなかったり、そもそも入居者が集まらないリスクがあります。
そんな物件管理を、オーナーの代わりにやってくれるのが、賃貸管理会社です。
賃貸管理会社は契約にもよりますが、主に下記のような対応を行ってくれます。
◆入居者対応:入居者の募集や家賃の徴収、クレーム対応など
◆設備管理:物件の内装や外装、設備のチェック。修繕の提案など
◆清掃:共有部分やゴミ置き場、玄関や壁などの清掃
◆資金管理:家賃や委託料の管理、納税準備、修繕費用の積立など
こうした対応をしてもらう代わりに報酬を管理会社に支払います。
管理会社への報酬相場は家賃の約5%となっています。
年間家賃収入が500万円の場合には、25万円は管理費として消えていくのです。
固定資産税などの経費
その他下記のような諸経費も発生してきます。
◆固定資産税:不動産を所有していることに対して課される税金。不動産投資用物件であっても、所有している限りは毎年支払う必要があります。
◆修繕費:部屋の設備も経年劣化により修理が必要となります(エアコン・給湯器・キッチンやユニットバスの蛇口レバー等)。入居者が退去した時のハウスクリーニング代や壁紙の張替え費用のオーナー負担です。
◆手数料:新しい入居者を仲介してもらった時には、不動産業者に手数料を払います。
これらを合わせると、家賃収入の約10%は引かれると考えておきましょう。
そうすると、年間家賃収入が500万円の場合には、50万円が諸経費に消えるのです。
ローン返済
ローンを組んでいれば月々の返済もあります。
例えば5000万円を頭金なしの20年ローン・1.5%の固定金利で設定すると、月々の返済は約24万円。
年間で約290万円となります。
実際の利回りとは
前述したコストを考慮して、実際の利回りを計算してみましょう。
コストを考慮して算出した利回りを、「実質利回り」と言います。
年間家賃収入を500万円として
◆空室リスク:25万(5%)
◆管理委託費:25万(5%)
◆固定資産などの諸経費:50万(10%)
◆ローン返済:290万
差し引き利益=110万
この利益110万円に対して利回りの計算式を適用すると
「110万÷5000万=2.2%」
となり、一気に2%台にまで下がってしまうのです。
さらに、ここから利益に対する所得税や住民税が引かれるため、500万円の年間収入があったとしても、手取りは約100万円前後となってしまうのです。
まとめ
今回は、不動産投資を表面利回りで判断してはいけない理由を解説しました。
投資の価値は、長期にわたり、どれだけ多くの収益を得られるかが判断基準となります。
表面利回りだけでなく、実質利回りも考慮して、投資に取り組むようにしましょう。